自分の都合だけで会見を開かず、私たちの申し入れにもこたえてほしい…などと、7月13日の記者会見時質問の冒頭に 記者からたしなめられていた菅直人首相。 『 3 月 11 日のこの大きな原子力事故を、私自身体験する中でこれまで考えていた安全確保という考え方だけでは最早律する事が出来ないそうした技術で有ることを痛感いたしました。そういった中で、私としてはこれからの日本の原子力政策として、原発に依存しない社会を目指すべきと考えるに至りました。 つまり計画的、段階的に原発依存度を下げ将来は原発が無くてもきちんとやっていける社会を実現していく。これが我国が目指すべき方向だとこのように考えるに至りました。』脱原発宣言である。 ドイツのメルケル首相は、福島原発事故後、極めて早い段階で脱原発宣言を発した。 其の後、余り時間を置かずに具体的な移行スケジュールも発表した。 内容の是非はともかく、その政治判断の速さには彼我の感がある。 日独間では、電力供給の仕組み等の点で大きな差がある事を勘案しても、我国首相は 4 ヶ月の間何を検討してきたのだろうか。 今回の会見に於いては、「計画的、段階的に原発依存度をさげる」というが具体的な事は何一つ語られていない。 国民や産業界を含む我国社会全体にとって最低限必要な電力量を、現状と将来を見通して語られるべきであった。 原発依存度を下げるに必要となるその他の電力エネルギー源、水力、風力、太陽光、地熱、海流力などを利用する技術の発展動向や火力発電燃料となる化石燃料の供給動向などの解析や其々の場合のリスクファクターの解析等が為されているべきで、今回の会見では其の総括が披歴されるのであれば未だ理解はできた。 1990 年比CO2を 2020 年までに 25% 減らすと云う国際公約の実現性はどの様に確保するのかも説明されてしかるべきである。 然し、残念ながら、会見ではその様な話は全くない。 本来 4 ヶ月もの月日を掛けるのであれば、詳細データが開示された上で国民的議論を経て、国民の総意として決定されるべきであると思う。 現に、本日の首相会見は、細かいことを知らさず、知らされないが故に怖さだけが脳裏に焼き付いている「世論」に追随しただけのように感じるのは私だけだろうか。 大手メディアは何をしていたのだろうか。 3 月 11 日以降