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世界一の技術とは?

アップルからiPodが発売された時、その洗練されたデザインや操作性、当時としては驚異的な記憶容量などと共に、iTunesという仕組みを用いた新しい事業モデルが爆発的なブームを呼び起こし、iPhoneという新製品も加わって、その勢いは未だ衰えない。  それまで携帯音楽プレーヤーの分野において、ほぼ世界市場を席巻していたつもりの我が国では、「iPodのような製品は日本の技術をもってすればすぐにでも出来る」という声もよく耳にした。 確かにその通りであろう。  然し、アップルによる独創的な製品開発、開発から商品出荷に至る厳格なプロセス、そしてネットを通じた音楽配信という総合力を結集した創造的事業おいて他の追随を許さぬほど、先行されてしまった現実がある。  先日、「事業仕分け」で、我が国のスーパーコンピュータ開発に関する国費投入の是非が議論された。その折、「世界二位では何故いけないか」との仕分け人の問いかけに対して、「一位を狙わずして果して二位になれるや」という反論が起きた。 このことに関して、まつもとゆきひろ氏(ネットワーク応用通信研究所フェロー、Ruby開発者)は、「スパコン世界一は無意味」(日経ビジネス2009.12.21-28年末合併号)と題するコラムの中で、「私が開発したプログラミング言語『Ryby(ルビー)』は、性能がいいとは言い切れない。 例えば、同じ働きをするプログラムをRubyと『Java(ジャバ)』の両方で開発した場合、多分Javaの方が性能はいいだろう。 一秒間に処理できる命令数でRubyが劣る。 しかしIT業界では、同種のアイディアを持つ企業に先んじて、自社製品を市場に投入することが勝負を決める。」と述べている。 同感である。 今回の”世界一を狙うスパコン開発”論と、先の”iPodは日本の技術をもってすれば造作もなく出来ること(出来た筈のこと)”という言い方に同質性を感ずる。 12/28/09